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1000日のアンのメルのレビュー・感想・評価

1000日のアン(1969年製作の映画)
4.0
イギリスのヘンリー8世が若い貴族の娘アン・ブーリンと再婚し、結果的にそのアンをロンドン塔に送り処刑するまでの1000日を描く。

同じテーマの作品「ブーリン家の姉妹」よりも30分長いので、離婚が許されないカトリック教会を捨てイングランド国教会を作り、2人が再婚に漕ぎ着けるまでを詳しく描いている。

実際にアン・ブーリンが政治にどこまで介入していたかは分からないが、ここではかなり気の強さが強調されていて、ユートピアを書いたあのトマス・モアに付いてもアンの口から「処刑して!」と言わせている。

ヘンリー8世も自分に反対する者は次々処刑していき、結局都合の悪くなった2番目の妻アンの処刑にもサインする。

後にアン・ブーリンの遺した娘エリザベス1世が実質的なイングランドの女王になった事から、処刑される前に「娘のエリザベスを女王にする!」とアンが主張する辺りは作品として少々あざとさを感じた。

当時はカトリック教会が絶大な力を持っていて国王でも教会に反する事はできない。
自分の野望を正当化しながら神に祈るヘンリー8世の姿は、もしかしたら実際にあったかもね‥と思う。

しかし彼は次々新しい妻(5人)と結婚する為にイングランド国教会を立ち上げた訳ね。
勿論愛人も沢山いた訳だけど、その子どもは権力を持てず、国王夫妻の子どもでなければ跡継ぎになれない等色々あるらしいので、ヘンリーも結婚と跡継ぎの男児に執着せざるを得なかったという一面はある。

この16世紀は日本でも戦国時代で、常に権力を維持する為に戦いの毎日だったというのは興味深い。
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