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悲しみのミルクのodyssのレビュー・感想・評価

悲しみのミルク(2008年製作の映画)
4.0
【子供の奇妙な想像世界のよう】

南米についてはろくに知らないしましてや行ったこともない。それだけに、よく分からない部分もあったけれど、奇妙な面白さが感じられる映画だった。

邦題になっているミルクと、それからジャガイモの話。突拍子もないようでいて、どこかにありそうでもある。小さい子供同士で、男女のこととかをよく分からないままに、盗み聞きだとか雑誌を拾い読みして得た断片的な知識をもとに、あとは想像で補って、その結果、あとで考えると奇妙極まりないけれど、どこか芸術的な創造性に通じていなくもない世界が頭の中だけに出現する。そんな感覚かな。

南米ってのは、どことなくそんな奇妙な世界が現実にあるような気がして、この映画がそれを見事に映像化しているのには、ちょっと感動した。主演の女の子にも独特の魅力がある。

女性ピアニストとの関係も、主人とメイドが近代的な契約関係というよりは、土俗的で曖昧な、しかし大きな「格差」の中にあることが浮かび上がってくる。でも、主人と使用人の関係ってのは、今もこんなものかもしれない。女優と付き人みたいなもので、穏やかな暴力や搾取がつきまとっているのだろう。
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