王冠と霜月いつか

天河伝説殺人事件の王冠と霜月いつかのネタバレレビュー・内容・結末

天河伝説殺人事件(1991年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

公開直前当時、市川崑監督が久しぶりに角川映画でメガフォンを揮うという事で、犬神家の一族/金田一耕助/横溝正史と天河伝説殺人事件/浅見光彦/内田康夫を対比させてキャンペーンを打っていて、TVで、そんな番組を観た記憶があります。私は、内田康夫さんの浅見光彦シリーズも好きでしたので、とても楽しみにして映画館で鑑賞したのを覚えています。

今回、約30年振りにU-NEXTで鑑賞しました。

内田康夫さんの原作版天河伝説殺人事件は、決して傑作とは言えない(失礼)只長いだけの作品だったと記憶しております。映画化するなら、傑作の誉れ高い、浅見光彦初登場のシリーズ第一作『後鳥羽伝説殺人』の方が相応しかったんではないかと思います。天河…が選ばれたのは、恐らく、天河神社の神宝『五十鈴』(山田じゃない方)が、キャッチーなのと、メディアミックス商法として上下巻に別れている→2冊売りたい角川書店…角川春樹の思惑であったのでしょう。

映画のラストに、
浅見光彦事件簿ファイル№1
とスーパーが入ります。完全にシリーズ化を狙ったんでしょうが、№2は未だに制作されていません。角川春樹は市川崑に直接監督を依頼したそうです。監督は、犬神家の時のように上手く行くとは限らないと明言したそうですが、角川春樹は宣伝活動で何とでもなると高をくくっていた様です。

さて、肝心の本編ですが、
『悪魔の手毬歌』

『獄門島』
から、「見立て殺人」の要素を除いたリメイク作品だと感じました。市川崑監督/金田一耕助作品のファンからしても、内田康夫/浅見光彦シリーズのファンからしても、少々物足りない内容でやや残念に思いました。

お馴染みの市川組の役者さん達が脇をしっかり固めて下さっていたのが個人的なお気に入りポイントです。
大滝秀治
岸田今日子
神山繁
常田富士男
小林昭二
加藤武
奈良岡朋子
そして
石坂浩二
(敬称略)

原作者の内田康夫さんは、浅見光彦を演じた、榎木孝明さんを高く評価していて、フジテレビ系の浅見光彦シリーズでは、14作浅見光彦役を演じ、中村俊介さんに光彦役を譲ってからは、今回、石坂浩二さんが演じた、光彦の兄、警察庁刑事局長、浅見陽一郎を演じていらっしゃいますね。また、金田一耕助シリーズでの三木のり平的なポジションで出演されている伊東四朗さんは、テレビシリーズでは、「軽井沢のセンセ」事、内田康夫役を演じていらっしゃいます。

時代は確実に流れています。

追記
すっかり忘れてましたけど、主題歌「天河伝説殺人事件」は元CCBの関口誠氏が作曲&歌唱なんですね。で、タイトルを『二人静』に変更して、私が大ファンの中森明菜さんがワーナーで最後にリリースされた曲でもあるんですね。映画本編では関口バージョン、CMでは、明菜ちゃんバージョンが使われて、何かの番組で二人で二人静してましたね、懐かしい。どっちがシテでどっちがツレかは…