わせ

按摩と女のわせのレビュー・感想・評価

按摩と女(1938年製作の映画)
3.8
フィーリング・ラヴ…。東京の女に潜む影、視覚的な情報にかき消されて見えなくなってしまいがちなもっと奥の方を見る能力が長けているのは盲目の按摩であった。ふたりがすれ違う場面、感覚を研ぎ澄ます按摩の鋭さにこちらまで緊張感が伝わってくる。恋をしてから感覚の鈍くなる按摩がかわいらしい。ラストに心に残るのは抗えない現実の惨さと溢れ出す後悔と。東京の女の胸に残ったであろうやりきれなさと近しい感情だと思う。客観的な視点で描いているのに主観性もある不思議な作品。鑑賞日からすこし経っているけれどいまだに余韻が消えないでいる。生まれて初めての失恋を思い起こすくらいに純粋で切なかった。でも、見えない目で見つめるって なんだか物凄く官能的でもあるなあ。
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