Zhivago

十九歳の地図のZhivagoのレビュー・感想・評価

十九歳の地図(1979年製作の映画)
3.7
40年ほど前、中学生だか高校生のとき、昼下がりの地上波テレビで観た映画があって、タイトルも覚えていないが、強烈な印象で、今の今までその映画をもう一度観たくて探していた。
その映画は、鬱屈した苦学生、大学生だか予備校がひたすらランニングしながら新聞配達をする。オイルショック後の首都圏らしい街景色で、みすぼらしいアパートや町工場が舞台だ。

その映画がやっと見つかった。ネットの世界はありがたいものだ。

作りは写実的で、フィクションなのにドキュメンタリーみたいだ。原作の中上健次の原体験もあるのだろうか。柳町光男監督が溝口健二を好んでいるというのもうなずける。

ロケ地は王子スラムといったらしい。今は再開発で跡形もない所らしい。

当時の「アパートもの」邦画にある時代感が好きだ。本作もそのアパートもの的時代感がむせ返るように表現されている。この時代感は、オイルショック前でもバブル以降でも、絶対に作り出せない。70年代に特有の時代感なんだと思う。前後との間で連続性を喪失した時代。
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