王冠と霜月いつか

犬神家の一族の王冠と霜月いつかのネタバレレビュー・内容・結末

犬神家の一族(2006年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

『全部私が拵えたのよ。何が1番美味しかった?』
「生卵」

1976年度版のリメイクです。
国営放送で、吉岡秀隆主演で(同じ歳なので呼び捨て)
ドラマ化されたのと見比べる為に久しぶりに再鑑賞。1976年度版は、4Kデジタルリマスター版を去年スクリーンで観ました。

石坂浩二さん、加藤武さん、大滝秀治さんは、前作と同じ役(凄いね!)
草笛光子様は、前作は梅子夫人で、今作はお琴の師匠。三條美紀さんは、前作、竹子夫人で今作松子夫人の母親。

それ以外の役者さんは30年前の作品なので当然変更ですね。誰とは言いませんが、余り演技が上手くない方も居て残念。冨司淳子さんが松子夫人、尾上菊之助さんが佐清というリアル親子による親子役は効いていたようないないような。松坂慶子さんはお綺麗なままでした。

青沼静馬と犬神佐清は叔父と甥の関係なんですね。東方仗助と空条承太郎の関係と一緒。異なるのは2人の年齢が一緒ということ。

犬神家の一族での1番の謎は…

松子夫人に対する金田一耕助の言葉
「佐兵衛翁の望んだことをあなたの手で実行してしまったんですねぇ」ですね。

佐兵衛翁の望んだ事=松子夫人の行った事=佐竹、佐智、静馬を殺害したこと。

???静馬は佐兵衛翁の実子でしょう?(佐竹佐智も孫ですが)
遺言状を読む限り、佐兵衛翁が大切に思っていたのは
①野々宮珠世
②青沼静馬
③佐清、佐竹、佐智
の順だと考えられます。
何故、静馬を殺害するのが佐兵衛翁の望んだ事なのか?佐清と静馬が入れ替わっている事で間違えた? 悪魔の手毬歌の別所千恵と里子の様に?
いえいえ、青沼静馬が自分の正体を松子夫人に明かした後に、松子夫人の後ろに佐兵衛翁の亡霊が立ってヤレと命じている映像が入るのです。
金田一耕助が古館弁護士に言ってる様に、この殺人事件は、佐兵衛翁がやらせている様に思えてならない…五十路になってようやく出来た実子を殺害するのが佐兵衛翁の意志なら、犬神製薬製の生薬のキメ過ぎでしょう。

わからん。
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4月24日追記

ひと晩寝ながら考えたら、佐兵衛翁の望んだ事が、わかりました。一応やっておきます。

『よし!わかった!』

…さてw、それはなんだったのか?私は、犬神家存続の為に、好まざる人間を排除する事だったのだと思います。
 あの遺言状は、3人の孫を試したのでしょう。そして、死して強まる念は松子夫人に取り憑いて、遺産に目が眩み、珠世を我が物にしようとした不届きな孫2人と、復讐の為とはいえ身許を偽り犬神家に入り込み、佐清を脅迫した(佐清になりきる為いずれは佐清も始末するつもりだったのでしょう)息子、静馬をも殺させました。
金田一耕助には、佐兵衛翁の怨念が見えていたのかもしれませんね。だから、古館弁護士にあんな言葉を言ったのでしょう。
と、私は思ったのですが、あなたはどう思われますか?
ご意見コメントで教えて下さい。よろしくお願いします。
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最後に、金田一耕助が、ふと立ち止まり振り返ってカメラ目線で、お辞儀をします。これは、恐らく市川崑監督の観客に対するメッセージでしょう。セルフリメイクした意味はそこに集約するのだと思います。