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松本清張のスリラー 考える葉の一のレビュー・感想・評価

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充実のB級ノワール。だらしなく髭をたくわえた鶴田浩二が夜の街をフラフラ酔い歩くバックショットから、ショーウィンドウの内側へとカメラがパッと90度位置を切り替える。すると鶴田が通りすがりの仮装した看板持ちからプラカード奪ってガラスをバリンバリン叩き割る。そんなオープニングから異様なムードを醸すスタイリッシュな画作りが終始冴えている。更にはヒッチコック『サイコ』的とも言える鶴田キャスティングを逆手に取った大胆なストーリー展開。序盤で背景として不自然にそびえ立つ国会議事堂がシニカルなラストにこだまする。
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