Tully

サタデー・ナイト・フィーバーのTullyのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

内容はありふれたシチュエーションの青春ドラマだった。「ジョン・トラヴォルタ」 扮する主人公はペンキ屋のお兄さん。週末の場末ディスコではスターになるダンスが取り得の平凡な青年。神父になれなかった学のある大人しい兄。失業中の父親、うるさい母親。生活様式からいかにもイタリア系アメリカ人で、生活水準から人生の明るい展望は見出せない下流庶民である。そこへ、主人公に思いを寄せる普通の女の子に、ダンス仲間の悪友たち、恋人の妊娠に悩む童顔の友人、第一印象では女優のような輝きを放つ自立した強い女性として登場するヒロイン。彼らはディスコで踊ることを媒体に繋がり、悩み成長し、将来への光のようなものを見つけていく。ありふれた青春ドラマで、下手をすれば陰鬱になりがちな舞台を、一貫して明るいBGMに軽いテンポで爽やかに描写し続け、全面に娯楽性を満たしながらも節目節目に社会が抱える問題を挿入し、ラストに絶望的な現実と将来への希望のようなものをセットで魅せる監督の手腕は見事だ。ダンス映画の古典的名画といっても良いのではないか。
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