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日本一の断絶男のmitakosamaのレビュー・感想・評価

日本一の断絶男(1969年製作の映画)
2.7
『裏切り男』同様、須川栄三の監督作。やはり作風が違うって感じ。
当時のヤクザ映画ブームの影響を受けてか、この時期はクレイジーもヤクザネタが多い。今作も後半はバリバリ任侠物だもんなぁ。

クレイジー映画は中期から、植木等のキャラクターを無責任路線から変更し、C調有言実行路線に変えたんだけど、この辺りからまた無責任路線に逆戻りする。これが無責任を通り越した得体が知れない存在で、ちょっと怖いくらい。
労働意欲も一切無し。仕方なく働く羽目になるとその場その場の奇策で切り抜けて、自分が良ければ裏切って他の所へ行く。義気も人情も何も無い。
人間味が薄いので感情移入し辛いな。
序盤の広告代理店での敵役が藤岡琢也なんだが、これもリアルに感じ悪い。人見明や進藤栄太郎・東野英治郎などは憎まれ役をやってもどこか愛嬌がある。藤岡琢也は普通に嫌な奴だもんな。サッポロ一番な柔やかさがない。

今作はパートナーになべおさみ。ナベプロ内での世代交代を促進したがってる意図が見えるキャスティングだね。
そしてヒロインが緑魔子。超カワイイ。今に通じる美形。ファッションもオシャレだ。

職業がコロコロ変わるのは良いが、話の内容も変わり過ぎ。サラリーマンがヤクザになると別物語になるもんな。
しかもヤクザの親分にハナ肇。別の映画に繋いだみたい。
その後、相変わらずの発明家キャラの谷啓が作った巨大な風船で空を飛ぶが、このエピソードもよくわからん。ココいるか?

ロケーションは見所ある。やっぱり冒頭の大阪万博の建築工事シーン。ラストの方の木場も必見だ。
しかし映画自体がなんだか不確定で妙に不気味だ。
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