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近頃なぜかチャールストンのHKのレビュー・感想・評価

近頃なぜかチャールストン(1981年製作の映画)
4.0
財津一郎氏が亡くなりました。享年89歳。
「・・・ヒジョ~ニ、サビシ~イ!」
TVであまり見かけなくなり、数年前に奥様の介護をしているという記事を何かで読みましたが、その奥様もすでに亡くなっていたそうです。
まだ私が小さい頃に見た『てなもんや三度笠』の蛇口一角、TVアニメ『花のピュンピュン丸』の主題歌、『ロボタン』(モノクロ版)のボッチのパパの声なんかが思い出されます。
お笑いキャラから渋い役どころまで、いつも味のある役で楽しませてくれました。合掌。

ということで追悼作に選んだのは、もう何度も観ている本作。
錚々たる出演陣が並ぶ中で財津一郎(当時47歳)が演じる刑事はほぼ主役と言ってもいいくらいで、若手刑事の本田広太郎(当時30歳)とのデコボココンビもとてもイイ味。

ある真夏の夜、主人公の不良少年が婦女暴行未遂で入れられた留置場で無銭飲食の不良老人グループと遭遇しますが、その怪しい老人たちは日本から独立した“邪馬台国”の閣僚だと名乗ります。しかし釈放後も少年はなぜかこの変な老人たちと生活を共にすることとなり、その周辺では怪しい失踪事件や地震まで・・・

本作は同じ岡本喜八の傑作『肉弾』(1968)の主人公が現代に生きていたらどんな老人になったかという企画のもと、『肉弾』と同じく敢えてモノクロ・スタンダードで制作され、同じく冒頭も平均寿命ネタから始まる姉妹編とも言える作品ですが、本作だけ観ても十分楽しめるコメディの快作です。

“邪馬台国”の主要メンバーは、元教授の総理大臣に小沢栄太郎(当時72歳)、元文房具屋の文部大臣に殿山泰司(当時66歳)、元保険外交員の外務大臣に今福将雄(当時60歳)、元郵便局員の逓信大臣に堺左千夫(当時56歳)の他、大蔵大臣の千石規子(当時59歳)、陸軍大臣の田中邦衛(当時48歳)、内閣書記官長の岸田森(当時42歳)など。
労働大臣に任命される主人公の少年は本作が脚本も兼ね役者デビューの利重剛(当時19歳)。

今回あらためて観ると、老けメイクをしてますが老人グループと言うには、皆さんまだかなり若かったことがわかります。老人と言えるのは今だとせいぜい小沢・殿山の二人くらい。
他の出演者も平田明彦(当時54歳)、寺田農(当時39歳)、藤木悠(当時50歳)など豪華。
冒頭で主人公に絡まれるアベックの男は当時まだ無名の光石研(当時20歳)。
当時40代以上の本作の主要キャストはとうとう皆さん亡くなってしまい、時の流れを感じます。
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