blacknessfall

嗚呼!! 花の応援団 男涙の親衛隊のblacknessfallのレビュー・感想・評価

3.2
三部作の最終作。
また青田赤道役がチェンジしてるぞ!監督も主要キャストも同じで主演だけが作品ごとに違うの珍しいよな。

本作の赤道役は本間進て人でこの人は以降も俳優業をして政治家になったりもした人らしい。
3人の中で一番演技がうまくセリフも聞きとりやすい。でも、一番似てないんだよな原作の赤道に。人間離れした悪相に体躯、動きが赤道なんだけど本間さんは端正なイケメンで体躯も普通にシュッとしてるから、メイクで汚し演技も頑張っているけど迫力不足は否めない。全体的にモダン過ぎるんだよな、『ビーバップ・ハイスクール』の方がマッチしそうな。

物足りなさを補う破天荒なストーリーを期待したけど本作のメインは赤道と父親の話で、よくあるぶつかり合うことで長年の確執に終止符が打たれるベタベタな人情話で、タイトルになってる応援団の陰が薄い。宿敵であるライバル校との抗争なんかもあるんだけど、それもその親子の話の中に回収されやはりベタな和解で終わってしまう。赤道とライバル校応援団団長の最後の対決がないんだよ。1作目から煽っておいてそれはないよ、、

本作でおもしろかったのは二回生小林の失恋エピソード。好きになった女性に告るチャンスが巡ってきたんだけど、その女性は応援団OBの彼女だったことがわかり、あまりのショックに発狂してしまう笑
この小林はシリーズ通してのコメディ・リリーフで1作目では先輩の理不尽なシゴキに追い詰められ、やはり発狂して幹部用の酒を飲み干し大暴れする。2作目も合宿でのシゴキの鬱憤を酒の力で発散させシゴキ大好きOBを派手に恫喝する。どの作品でもそのキレ具合がおもしろ過ぎて印象に残るし、これがあるから退屈せずに観れたように思う。

考えるとこのシリーズの主役は実は一回生と二回生で彼等が酷いシゴキに四苦八苦し辛酸をなめながらも漢になろうと苦闘する様を愛情深く描いている。
その証拠に「応援団言うのは、一回生はゴミ、二回生は奴隷、三回生で人、四回生は神ですわ」「せやから一回生言うんは辛いことだらけですわ」と言った感じの一回生のモノローグで物語を進行し、必ず彼等の見せ場を作る。3作とも一回生、二回生の恋愛を入れてるところからも彼等に対する思い入れを強く感じる。
だから、この一回生、二回生のエピソードに機能的に破格の人間凶器である赤道を絡めることができたら、このシリーズもっとおもしろくなっていたような気がする。
なんか勿体ないんだよな。正直、赤道と父親の妾の恋の行方なんてさしておもしろくないんだけど、曽根中生監督の作家性は圧倒的にこっちだから力が入ってしまってるし。ギャグの撮り方も役者がかなりバカに徹して熱演してるのにあっさりした演出でパンチが弱くなってしまってる。
日活で曽根中生監督じゃなくて東映で鈴木則文監督でやるべきだったんだよ。
blacknessfall

blacknessfall