カタパルトスープレックス

ハッスル&フロウのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

ハッスル&フロウ(2005年製作の映画)
3.4
最近は『ルディ・レイ・ムーア』(2019年)や『星の王子 ニューヨークへ行く2』(2021年)でエディ・マーフィーの再浮上させたクレイグ・ブリュワー監督の出世作です。ラップを題材にして人間の再生を描きます……って次作『ブラック・スネーク・モーン』(2006年)と同じテーマじゃん。ブルースとラップの違いってだけで。

テーマは救済。『ブラック・スネーク・モーン』は「魂の救済」でしたが、こちらは「夢よ再び」の意味合いが強い。

舞台となるのも『ブラック・スネーク・モーン』と同じくメンフィス。世界的ダンサーのリル・バックを輩出したサザン・ヒップホップの聖地のひとつ。治安も悪く、貧困層が多い地域でもある。クレイグ・ブリュワー監督はメンフィスに住んでいた時期もあるようなので、思い入れがある場所なのかもしれません。

ぽん引きとして三人の娼婦を囲うDジェイ。昔はイケてるラッパーだった時期もあったが、すっかり落ちぶれてしまった。しかし、あるきっかけでラッパーとして再起をかけて音楽作りをはじめる。Dジェイは再び浮かび上がることができるのか?と言う話です。ストリートからの成功譚なので非常に単純な話ではあります。

メンフィス独自のダンススタイル「ジューキン」が生まれた場所、ローラースケート場「クリスタル・パレス」も登場します。音楽もシンセサイザーを使ったサザン・ヒップホップでちゃんとメンフィスの音楽シーンを理解した上で作り込んだ作品だとわかります。クレイグ・ブリュワー監督って黒人文化を題材にした映画を得意としますが、白人なんですよ。よっぽど好きなんでしょうね。