カタパルトスープレックス

夜の浜辺でひとりのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

夜の浜辺でひとり(2016年製作の映画)
3.8
ホン・サンス監督がキム・ミニと出合い作風が変わった二作目。

前作『あなた自身とあなたのこと』(2016年)で以前の作家性はそのままでの視点を男から女に変えることにより、大きな変化を遂げました。本作もその延長線上にあり、更にホン・サンス監督とキム・ミニの当時の状況も反映させた作品となっています。

ヨンヒ(キム・ミニ)は女優で、監督との不倫スキャンダルのためにヨーロッパの知り合いのもとに身を寄せる。追って自分も行くと言っていた監督とは会わずに韓国へ戻る。同郷の先輩たちと過ごすが気持ちは晴れない。

本作は完全に女性の一人視点です。ホン・サンス監督の定番ダメ男は出てこない。存在はするけど、そこにはいない。いないけど、女性の中には存在している。いないけど、いる。

これまでのようなコメディーな感じではない。クスッとすこしくすぐりがあるのががホン・サンス監督の特徴でもあったので、そこがないのはちょっとさみしい。まあ、これはこれでいいんだけど。