このレビューはネタバレを含みます
1987年に公開された映画。イランの映画は初めて見たけれど、話の長い先生に、宿題を忘れて泣く同級生。子どもながらに真剣に話しても、大人にまともに話を聞いてもらえなかったことなどなど、どれも懐かしく、気が付けば親身になって主人公の小さな冒険を応援していた。
映像は、イランの田舎の光景が素朴ながらに美しかった。どのカットも一枚の写真として見入ってしまうほど絵になる。また、人々の生活ぶりがとても自然な、飾らない感じでよかった。職業俳優を使っていないと知り、納得。
唯一引っかかったのは主人公の祖父の教育方針。子ども相手にやりすぎだと思ったけれど、まあ、時代も時代だし、実際に手を上げている姿が映るわけでもないし、目くじらを立てても仕方ないのかな。
でも話を聞いていた老人は反論こそしなかったけれど、肯定もしなかった。「小遣いを与えられたことは忘れても、ゲンコツされたことは忘れない」と笑いながら言っていたこのセリフも、裏を返せば「子どもに手を出したらおしまい」となる、、のかな？
そういう教育方針がまかり通っていた時代の静かなメッセージだったと思えば悪くない。
評判通り、良い映画だった。
