レインウォッチャー

エクステのレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

エクステ(2007年製作の映画)
3.0
怨念のこもったエクステが、つけた女性を次々と呪い殺してくよ。

「怨念のこもったエクステ」。なんだか、これまでの人生で自分が書いた文の中で最もアホみたいな文である気がしてきた。怨念のこもった壺、とかだとそんな違和感は薄いのに、なぜだろう。ワードのもつ歴史によるのだろうか。

しかし、流行りモノがホラーのネタとして消費されていく現象は、昔から珍しいことではない(※1)。というか、多くの人々が認知するほどその裏返しで「もしも」の不信感も育っていくわけで、そこから怪談や都市伝説の類は生まれ得る。

日本でエクステが広く普及しだしたのは2000年台前半らしく、カリスマ美容師ブームの余波が残る時期である。今作は2007年公開、良く言えば時流に乗ったとも言えるだろうし、悪く言えば勢い一発。
警官や美容師といった劇中職業のエアプ感がひどかったり、お話のピース(人身売買、児童虐待、主人公のトラウマなど)がただ並べてあるだけで繋がってなかったりと、お世辞にもトリートメントが行き届いた映画とはいえない。

ただ、髪の毛によるHow to KILL大喜利は悪くないし、栗山千明の顔を映す角度と美髪の説得力は見誤っていない。児童向け読切りホラー漫画的ノリと思えば、まあ…まあ?観る心のキューティクルの調子によりそうな気がする。

あと、コメディ要素ホラー要素にとどまらず、ストーリーを進める役割さえも大杉漣に頼りっぱなしな属人酷使映画でもある。彼のがんばりに、スタンプカード一個おまけしときますね。

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※1:タピオカのホラーだってちゃんとある。
https://www.youtube.com/watch?v=NT-JKUlZrl0