王冠と霜月いつか

病院坂の首縊りの家の王冠と霜月いつかのネタバレレビュー・内容・結末

病院坂の首縊りの家(1979年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

『犯人は…あなたです。』

久しぶりにU-NEXTで鑑賞。
何度か観るうちに、最も好きな市川崑監督の金田一耕助シリーズとなった作品。

金田一耕助の役割は、狂言回しであって、事件を解決するスーパーヒーローではない。そういうのは、「見た目は子供、頭脳は大人!」な名探偵が活躍するアニメを観た方が良いと思う。劇中での金田一/石坂浩二さんと黙太郎/草刈正雄さんの会話が全てを表していると思う。

大好きな作品だが、残念な点が2つ。
①坂口良子さんが出ない事。恐らく、草刈正雄さんのポジションを今まで演じていたのが、今回ではアクションや役柄の問題でキャスティングされなかったのだと思われる。

②小雪の遺書に小雪の指紋が付いてないことが判明するも、後々、遺書は小雪が弥生奥様に言われて書いた事が明かされる。なのに、指紋を拭き取った意味がわからない点。これは、脚本のミスだろうか?

それらを鑑みても、とても完成度の高い作品。

お馴染みのキャストの皆様もガチンコで味を発揮して下さってシリーズ集大成として相応しい。特に定年間近の警察官加納巡査役の大滝秀治さんが素晴らしい!全5作皆勤賞なんですが、全て素晴らしい演技なんですが、今作が最高だと思われます。悪魔の手毬唄の権堂医師も捨てがたいですが…
『わしの字だ!こりゃー』

横溝正史先生ご夫婦も女王蜂・中井貴惠さんもゲストらしいゲストとして登場されているし。

金田一耕助最後の事件。これで終わりで良かったのに、わざわざ、横溝先生引っ張り出して新作書かせて、作った映画が『悪霊島』だからなあ。


※初回レビュー※
これは絶対にドヤ顔で言ってはいけない台詞。石坂金田一の低く抑えたでも通る声で言わないといけない台詞なのだ。市川崑×石坂浩二の金田一シリーズでは余り好きではなかった作品だったのだけれど、今は悪魔の手毬唄と双璧をなすかも。お馴染みの岡山弁でもないし、いつもの黒バックに白抜きのキャスト紹介でもないし。それでも良い。佐久間良子さんが美しい。桜田淳子さんが美しい、歌も良い。お馴染みの共演者の皆様の味が素晴らしい。恐ろしい偶然は久里子亭の脚本に欠かせないのだ。