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奥様は大学生の3104のレビュー・感想・評価

奥様は大学生(1956年製作の映画)
3.4
タイトルから「奥さまは魔女」「若奥さまは腕まくり!」のようなコメディを期待すると肩透かしを食う。決して喜劇的な面がないわけではないのだが、昭和30年当時の社会事情や人々の慎ましやかな生活ぶりが窺えるような、地に足の着いた(悪く言えば地味な)作品。

大学生で奥様になるヒロインに香川京子。頼りなげな夫役の木村功との対比(もとから長身で華やかな顔立ちの香川がより際立ってしまう)がいい塩梅。女性が大学へ行くということ、大学での勉強内容と就職先の仕事とのギャップ、仕事と家事と学生を全て成り立たせることの困難さ・・。周囲の良き人々にも助けられ、若い夫婦がそれらに直面し、乗り越えようとする姿が描かれる。

主役の2人以外にはナレーションも務めた中村メイコ(小柄な体躯と決して美人とはえない愛嬌溢れる顔立ちが、これまた香川といい対比に)の存在が映画に親近感と推進力を与える事に成功している。他にストーリー上でアクセントやフックになる人物があまりいないのもあり、彼女がいなければさらに地味で味気のない作品になっていたかもしれない。

ほかに宝田明、河内桃子、太刀川寛、のちの児玉清夫人の北川町子、改名前の佐原健二、『ウルトラQ』の記者役が印象に残る加藤春哉などが出演。あ、チョイ役で山本“イカルス星人”廉も出ていたなぁ(どうも特撮視点で観てしまう)。
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