ペコ

日本のいちばん長い日のペコのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.8
オッペンハイマー関連映画として紹介されて観ましたが、なるほど、確かにこれは傑作…
予想に反してやたらとテンポ感のある前半20分からの、満を持してのタイトル登場で思わず痺れる。。(ああ、ここからが本当に長い一日なのかと…)

黒澤映画か小津映画かという名優揃い踏みで各々の堂々たる演技に、テキパキと整然とした語り口も相まって、多くの登場人物や早口での専門用語の羅列があるにも関わらずストーリーに入りやすい。
その辺りのトーンも少しオッペンハイマーに似た印象ですが、こちらは刻々と進む一日に沿って事態が展開して行く為、終盤に向かう緊張感が更に凄い。

玉音放送は他作品やドキュメンタリーでも聴く機会はありましたが、その裏でこんなドラマがあったとは。どこまで史実に忠実かは分かりませんが、何か実際の現場を追体験しているような迫真さがありました。
そしてオッペンハイマーで描かれる当時のアメリカと比較すると、そりゃ日本は負けるわ…と思わされる程の軍部の非合理さ。
逆にもしここでクーデターに成功していたら、ひょっとしたら日本は無くなっていたかも?本当に紙一重な歴史の一幕ですね。

ちなみにリメイク版も観ましたが、うーん…小綺麗過ぎて何かが違った。。あの時代っぽさが足りないのと、作品全体で一丸となって突き進んで行くような熱量も薄め…やはり岡本喜八版が偉大過ぎるのでしょうか。
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