吉岡秀隆 〜天才の理由〜
彼の演技の特徴は、演じているように見えないこと。
芝居なのだから、実際演じているのだが、演技が見えず、ただその存在だけを感じる。
彼以外の役者は大抵、『相当セリフの練習したんだろうな』とか『表情作るの大変だっただろう』などウラ側を察してしまうが、吉岡にはそれがない。
舞台裏なんてないのだ。
表も裏もなく役として存在できる。
このレベルまで到達するには、本人の努力や山田洋次監督や黒澤明監督の指導のおかげもあったとは思うが、元々持っている感受性の豊かさに加えて表現力、向上心、そして天賦の才があるからだと思う。
『 ただそこに存在している。』
これは役者としてとても難しいこと。
吉岡秀隆はそれが出来る稀有な役者。
そして、それが私が彼が天才だと思うひとつの理由。