ユーライ

機動警察パトレイバー THE MOVIEのユーライのレビュー・感想・評価

5.0
極めて良く出来た痛快娯楽編であり、ケチを付けるのは難しい。再見だったけど殆ど内容を忘れていたもんだから、押井ってこんな普通に面白いエンタメも撮れるんだと驚いちゃった。コンピューターウィルスを80年代で扱った先見性は言うまでもないが、伊藤和典による理路整然とした話運びの快感が凄まじい。「犯人は既に死んでいる」という後年パクられまくったギミックは発明と言っていいだろう。それはそれとして『2』派。思った以上にガメラとダブる部分が多く、聖書がオタクのバイブル化したのは一般的にエヴァ以降とされているが、そもそも本作が与えた影響が相当デカいのではないか。クライマックスでの一騎打ち後、奥手だったヒロインである野明が能動的に行動して事態にケリを付ける筋の通り方。このアクションを経由することによって、どこか取って付けたお気楽なエンドマークにも納得が行くようになっている。この無理くり終わらせなければならない感はむしろ『逆シャア』っぽい。特車二課を正義の味方呼ばわりするような余裕は消え失せた、作品世界を破壊しかねない勢いで(実際に破壊した)作家のエゴを突っ走る『2』のデタラメ加減が映画らしい、と個人的には思う。
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