理か

サンダカン八番娼館 望郷の理かのネタバレレビュー・内容・結末

サンダカン八番娼館 望郷(1974年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

辛いなぁ、悲しいなぁ、だけど優しき人


からゆきさん••••明治時代から貧しい家の娘を買って外国へ連れて行かれたり売り飛ばされて外国人相手の性商売に従事させられた女性のこと。
調べようと、女性人権問題研究者が、一人の元からゆきさん宅で寝起きを共にして話を聞き出す話。

私にはわからないが、男性の性とは何だろう。
嫌がる女性に無理にでも強いるべきなのか。
しかし、男性の性があるからこそ、不本意ながら
女性は金を稼ぐことができる。
自身の懐に入るか入らないかは、さておき。
金稼ぎの手段となり、女衒も儲かるが、
本作で一番腹が立つのは、
やはり、兄にであり、日本にだろう。
あんなに別れを惜しんで泣いていた兄が、
やっとの思いで帰郷したときのあの扱い言動、
風呂の中で泣くおサキの心。
そして、亡くなった母が生きていたとしても
赤の他人の扱いをするだろう、という諦め。

時間が経過して息子もできたのに、
その息子が、結婚する際に邪魔者扱いする。

やはり、おキクさんの言葉は当たっていたか。
日本には帰るな❗️帰ると碌な事は無い、と。
人身売買を見て見ぬふりしていた日本。
研究者が、密林の奥でようやく見つけた
おキクさんはじめ、からゆきさんたちの墓標は、
日本を背にして立っていた事実。

必ず身請けすると言った竹内が、外国人の素人の娘を嫁にとる。
貴族院議員が来るからと言って目障りと言い放ち商売自粛しろ、と言いに来る元女衒。
淫売と蔑みつつその淫売の生き血を吸って生きて来たくせに。

おサキさんを利用した研究者が帰ると聞き、
利用したことを、許す。
さらに手拭いを貰い、堪えきれずに声を上げて泣く。
寂しくて仕方なかったのだ。
誰でもいいから一緒に住みたかったのだ。
理か

理か