イチロヲ

遊びの時間は終らないのイチロヲのレビュー・感想・評価

遊びの時間は終らない(1991年製作の映画)
3.5
イメージ戦略を要とする警視庁が、銀行強盗を題材にした防犯訓練を実行するのだが、犯人役の警官(本木雅弘)の徹底した役作りにより、大騒動へと発展してしまう。都井邦彦の小説を原作に取っている、サスペンス・コメディ。

大人による「銀行強盗ごっこ」を介しながら、警視庁・マスコミ・一般庶民が織りなす、風刺を露呈させていく。丁度、怪獣と人間の関係性に拘りながら、特撮怪獣ごっこをする子供たちと似たような構図になっている。

本木雅弘演じる主人公は、警察から事情聴取を受ける側の人間を知り抜いているため、犯人役に熱が入ってしまう。ほとんどの登場人物が、喜劇調の仰々しい芝居をするのだが、主人公だけが逸脱した存在になっている。

情報に踊らされる人間と刺激を追い求める人間をカリカチュア化させているため、多分に辟易させられるが、ケレンミをもたせた作劇は上々の出来栄え。主人公の強盗ごっこにどこまで付き合うかで、国民の信頼度が変化するというモチーフが絶品。
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