ぷかしりまる

レネットとミラベル/四つの冒険のぷかしりまるのレビュー・感想・評価

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一年前に映画論の授業で冒頭30分間を見てから、そのままだったんだけど、やっと最後まで見られた。その時、生徒のだれかが「レネットの絵のモチーフはすべて女性で、同性愛者なんじゃないか」と言っていて、その視点はなかった!と驚いたのを覚えている。

青い時間に、沈黙の中で心が通じた少女たちが抱き合う場面がとても素敵だ。自然現象を見たときに心が通じるのは、緑の光線を思い出させる。脚本も練られていて、自然の生命や生命の神秘というテーマ(第一章)のために、何気ない会話の中に、ひいおばあちゃん生誕時からの100年の木、動物や麦などの植物、自然に関わる人(農家)が組み込まれている。第一章が終わってからも、感じることと理解することの対比という一貫性を持っているのも、すごいな~と脱帽。会話も楽しい。
そして配色とファッションが最高!ロメールは絵画を見本に色設計をしていたらしい(ショットも絵画のように構築されている)。赤と青の衣服の対比や、みどりの背景の中で差し色となる赤のたらいやカーディガン。二人が仲良くなった時に同じ色を着るというのも、物語的な意味を色で演出している。(ただ服の色は二人の仲を暗示をしているけれど、明確な意味を固定していない。↔ウエストサイド物語)
授業だとたしか『ストロンボリ』のあとに見たのだけれど、なるほどロッセリーニの影響!って思った。ロッセリーニは、たとえばバーグマンが火口を見ているエスタブリッシングショットの前に、火口をそのまま撮ってからズームアウトする。すると観客が実際に火口を見ているような感覚になる。今作もそうで、パンクしたタイヤを近くで撮ってからズームアウトして、それを直そうとする少女たちが映る(ジャケです)。
全然違う二人がお互いを尊重しながら一緒に暮らしていくの、ほんといいね。好き

追記
さつまいもにバターつけて食べてんの美味しそうだなと思ってみんなのコメント読んでたらラディッシュだったことが判明 哀れなり
ロメールの映画って「で、結局何の話してたっけ?」ってなるんだけど、軽妙な会話をじっと聞いているとき、その人の生活に完全に入り込んでる感じがして心地いい