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任侠外伝 玄海灘のlagのレビュー・感想・評価

任侠外伝 玄海灘(1976年製作の映画)
4.5
灰色の荒波に浮かぶ密航船。ぶら下げた大量の認識票が音を立てて漂う。煤と砂利の岸に流れ着く。終焉の断崖から身を投げる。豪雨の中を傘も差さずに裸足で外へ飛びだす。噴き出る汚泥は下水の臭い。へばりつく黒い沼。うたわれる歌全部良い。

亡霊で幽鬼の安藤昇。狂暴で非人の宍戸錠。一応の天津敏。退廃美の李礼仙。綺麗な肌の小僧な根津甚八の行き場のない叫び。献血のしすぎでふらつく。切った爪がとんでるよ濡れてんじゃねえか拭いてから入れよ。やかんの飲み水に歯磨き粉を吐く。首吊りしたまま木乃伊になった母ちゃんに泣いて縋りつく。腐って虫が湧いたはまぐり。朝鮮戦争の死体の腸をこする。膝の動脈をほじくる。翻訳されてない演説は誰も聞いてない。ぱかやろうにほんごで喋れ畜生。

糸のない弦を弾いてくれ。風にゆれるしだれ柳のようにせつない横笛。あゝ幾つかの太陽を喰ってしまった生臭き都。
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