三樹夫

五人の賞金稼ぎの三樹夫のネタバレレビュー・内容・結末

五人の賞金稼ぎ(1969年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

若山先生主演のスプラッター時代劇、賞金稼ぎシリーズ第二弾。己の出世がため悪政を敷く領主(小池朝雄)に百姓が反乱をおこし砦に立て篭もり、主人公含む5人の賞金稼ぎが百姓たちの一揆を手助けする。
前作と同じくマカロニ・ウェスタンを意識していて、冒頭から荒涼とした荒地を進む主人公の前に刺客が現れ、若山先生の刀が光り、ファニング撃ちも炸裂する。しかし、前作と違うのは凄いシリアスな雰囲気で、ガトリングに小便かけて冷やすというギャグとかもあるけど、ギャグでは緩和できないぐらい凄惨な雰囲気が物語が進むにつれ濃くなっていく。後、主人公のウェポンドラえもんっぷりは今作も健在で、武器(主に鉄砲)がポンポン出てきて、前述の通りガトリング(おそらく続・荒野の用心棒オマージュだろう)も何の前触れもなくいきなり登場する。手足ぶった切られたり鮮血噴出もあるが、シリアスな雰囲気もあって、大人しめという印象が残る。

砦に籠っての多勢の領主側との攻防戦なのだが、砦側のアドバンテージといえば、若山先生とガトリングぐらいしかない。領主側は大筒までぶっぱなしてきて砦は崩れ、物量でおされて、死屍累々の殺し合いクライマックスへと突入し、若山先生のキルカウントが跳ね上がり、一面死体だらけみたいな状態で双方ともほぼ全滅という、勝利者などいない何の救いもない虚しいラストを迎えて映画は終了。

5人の賞金稼ぎとタイトルにありますけど、主人公と陽炎ぐらいしか印象に残らなくて、弥太郎はみんなのために犠牲になるキャラ的なテンプレ感が漂っていて、残りの2人は影薄いと、タイトルの5人があまり意味をなしてない。砦における攻防の燃える展開としてはスパイが送り込まれたり、裏切り者が出たりというのがあるが、そこんとこのツボを押さえようとはしているが、あまり印象的なシーンではないですね。
賞金稼ぎシリーズ第二弾ということで、大作として前作よりボリュームアップして作られたように思えるが、マカロニ・ウェスタン意識のスプラッター時代劇に、この大作感が上手く調和しているとは言えないんじゃないかな。調べたら第一弾公開してから4ヵ月後にこの映画公開してるのね。
若山先生が人斬り倒していく時の目に見えて分かる身体能力高さが白眉で、砦での無双っぷりに竹藪での殺陣のかっこよさにとんぼ返りと、この身体能力があるからこその映画史上最も人を殺した俳優5位にランクインであろう。若山先生は小池一夫に、俺に拝一刀をやらせろと直談判して、とんぼ返りと居合抜きで拝一刀役を得た人ですからね。
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