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アワーミュージックのmochiのレビュー・感想・評価

アワーミュージック(2004年製作の映画)
3.6
むずすぎ。ゴダールの死生観と音楽観がわからなかった。なぜ「アワーミュージック」というタイトルなのかも不明。
ただ、勝者と敗者の分析はなるほど、という感じ。戦いの敗者は勝者が持つよりも深い内容を事実に対して持つことができる。だから敗者であることはある意味で幸運なことなのだと思う。しかし敗者は文化を奪われてしまう。一方戦いの勝者は事実に対して深い内容を持てないので、文化があっても本当の意味での勝利を手にすることはできない。結局両者とも敗者。それから逃れるための方法は死しかない。「死とはありうることが起こらないことなのではなく、あり得ないことが起こることなのだ」という命題から分かるように、死は我々の生では理解できない、全く離れたものだから、この境地まで行けば勝ち負けなどもはやないからである。オルガの選択はこのことを反映しているのだろう。
勝者と敗者の関係性は構造的にずっと変わらない。だから人間には敗者しかいない。
結局希望と絶望のどちらを描きたいのだろう。そして音楽とはなんなのだろう。
この映画を観て、殺し合いをしまくっている中、そのことを異常と思わず生きている自分が異常なのだと思った。
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