トリ山羊

戦場のメリークリスマスのトリ山羊のレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
3.3
クリスマス放映となれば、追悼も込めてライブで鑑賞。
一度見ているはずだが、例のデヴィッド・ボウイが坂本に頬を合わせるシーンしか覚えていなかった。
それにしてもみんな若い!ボウイの格好良いことといったら!

いわゆる戦争映画ではないと思う。なぜか坂本はメイクをしているし、リアリティはあまりない。戦争という究極の状況下における人間の醜さとその対極にあるものが描かれる。

序盤は理性的に見えたヨノイ(世の意って意味なのかな)が狂気に走り、人間性を失っていき、一方で粗暴で差別的で暴力を楽しんでいるかのように見えたハラは「サンタクロース」になり、人間的な行動をする。
ヨノイの変貌はセリアズへの捻れた愛情(興味?)の末路なんだろう。そこにセリアズのキスでまさに腰砕けになってしまった。ロレンスがハラに語った種を蒔いたというのはヨノイの人間性が引き戻されたということなんだろうか。
ヨノイはセリアズの遺髪をロレンスに託すことでしか、セリアズとつながれなかったが、ハラとロレンスは戦後、立場を変えて再会する。

ロレンスには「日本人個人としては嫌いになりたくない」と言わせていたが、本作を見て日本人を称賛する外国人はいないだろうな。一方で、イギリスにもいわれなきいじめはあったということ。
戦争でなくても、人間は集団になると碌な事はしない。

タケシと坂本の素人演技が居心地悪さを醸している。
🎬2023/12/25放映|NHK BSプレミアムシネマ
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