自家製の餅

大脱獄の自家製の餅のレビュー・感想・評価

大脱獄(1975年製作の映画)
3.2
1975年、またしても網走刑務所。
脱獄という点では『網走市番外地』と同じだが、カラー作品としてスター総出でより劇的に商業化した作品と言えよう。

昭和といういつまでも、戦争の影から抜け出せない時台の凶暴さと、それでも上向きな時代のコミカルさがここでも共存している。
序盤のコミカルな爺の機転(捜査犬、もう歩けん)がツボった。「サックじゃ」から湯たんぽのくだりは腹を抱えて笑った。

刑務所内や河原で雪を踏みしめる時の音のリアルさ。ウソみたいなべっとりひた血糊。高倉健のサングラス姿のゴルゴ13感。たまに音楽がかっこよくて、エレピのジャズであったり新鮮なビートもあった。ただ、録音の歪みと昔の喋り方で日本語が聞き取りにくい。

木の実ナナ演じる女との出会い、宿と日雇い。ハメられて死刑囚になったことの復讐のために物語が進む中で、ちょっと無理な展開があったが、また観たくなる。

にしても、なんで北海道なのだろう。シベリアからの帰還か。新巻き鮭の箱か。