やわらか

マディソン郡の橋のやわらかのレビュー・感想・評価

マディソン郡の橋(1995年製作の映画)
4.4
いやあー、やられた。完全に感情を持って行かれた感じ。文句なしに素敵な映画だった。
 
クリント・イーストウッドの老いてなお失われないワイルドさも凄いけど、メリル・ストリープ!なぜあの歳で(失礼!)可愛さを感じさせるのか。この時点で50手前の筈なんだけどなぁ。後半にみせる色気も凄い。
 
クリント・イーストウッドがずぶぬれになって立ちつくすシーンから、交差点で車が動き出すまでの密度の濃さは窒息しそうなほど。そこで凝縮された劇場の空気が、最後の橋の上で解放されるみたいで、終わった後のスッキリした感じがなんか不思議だった。
 
で、少し冷静になって考えてみると、この映画(というか原作か)かなりあざといとも言える気がする。1995年という時代において既婚女性の不倫をいかに描けば許容されるのか?から逆算して作られているように思える。現実には映画のようなさっぱりとしたエンディングになるわけではないし、当事者の感情がこんなに綺麗に落ち着くこともないんだろうし。
 
そしてこれ、受け取る側の年齢によってもだいぶ印象が違うんだろうな。公開当時に観てたら、自分も前半の長男のように拒絶してしまっていただろうし。家庭を持ったり、生活や仕事の中で上手くいかないことをいろいろ経験して、その上で人間が持ち続けたい幻想とかそいうものを描いてる感じ。
 
Filmarksとかでこの映画の評価が低い人にとっては、まだ観る必要がない作品なのかもしれない、とか思ったり。
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