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爆裂都市 BURST CITYのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

爆裂都市 BURST CITY(1982年製作の映画)
4.0
近未来。非社会的な狂気の街、破怒流地区ではカスタム・カー、カスタム・バイクでゼロヨンレース(400メートルを競うタイム・レース)にあけくれ、抗争が繰り返されていた。
廃炭抗地区では下層民フリークスが地にはいつくばるように働いていた。今日もコマンド佐々木(陣内孝則)、フライング風戸(大江慎也)率いる“バトル・ロッカーズ”は演奏の後レースを行ない流れ者レーサー(コント赤信号)を再起不能にした。
この街に言葉を話せず、ただスピードを出すことに絶対の力を発揮するキチガイ兄弟(戸井十月、町田町蔵)がやって来た。実は彼らには親を殺した仇敵への怨念があった。
廃炭坑地区のフリークスたちは菊川(上田馬之助)ファミリーに牛耳られ原子力発電所建設のために、奴隷化されようとしていた。ブルー(大林真由美)を溺愛する黒沼(泉谷しげる)、冷酷非情な若頭霧島(吉沢健)ら輩下の暗躍が始まる。
そんな動きも知らずにフリークスの坂田(麿赤児)の仲間に加わり働くキチガイ兄弟。一方“バトル・ロッカーズ”はライブハウス20000Vで演奏中に“マッド・スターリン”の殴り込みにあい、その揚句、ポリス軍団に動きを押さえつけられ、ロック演奏もゼロヨンレースも出来ず、その欲求不満は狂気のエネルギーとかわりつつあった。
原子力発電所の工事が始まったが、下層民たちは家畜以下の待遇に不満がつのった。
それに加えて、キチガイ兄弟が両親を惨殺された過去の記憶を思い起こしたことで閉じこめられた牢を叩き壊す怪力を見せ、それを機に下層民たちは決起した。
時同じくしてライブハウスでも大暴動が起き、ポリス軍団はそれを鎮圧しようとするが、一度爆発したらもはや手がつけられなかった。
街中の住民のうっ積した不満が一気に爆発したのだった。
「狂い咲きサンダーロード」のカルトヒットを受けて、もっとブッ飛んだ内容のものを作ろうと製作したのがこの映画。製作当時勢いのあった陣内孝則率いるザ・ロッカーズやスターリンなど日本パンクロックのアーティストが出演し熱いライヴをぶちかます。
下層民が住んでいる場所を奪い、原子力発電所の建設する労働力として酷使する描写は、時代を先取りしている。とは言え、勢い任せな演出が裏目に出ているところもある。
クライマックスのザ・ロッカーズとスターリンのライヴバトルから警察との乱闘に雪崩れ込む展開は、熱いライヴバトル実際に乱闘していることもあり、「なめんなよー!」というロックの真髄が刻み込まれた名シーン。
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