ほ

泥の河のほのネタバレレビュー・内容・結末

泥の河(1981年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

無垢さゆえの繋がり。
死、貧困、戦争、性と少年の気付き。

馬車のおっちゃんが死ぬところでまず引き込まれる。生半可な映画じゃないぞと思わされる。

父親の舞鶴の女は戦争からの癒しの記憶。
きっちゃんの母親の職業を聞いた時の父親の眼差しに込められるものは、ただの差別心ではないような気がする。詳しくは語られないが、舞鶴の女を思い出したのか。終盤、父親が姿を消したのは、舞鶴の女(の死目?)に会いに行っていたと推察される。酒を飲んで、軍歌を歌う。戦後10年経っても、まだそこに心があるような。

蟹を焼いた後、去っていくノブオを、涙ぐんで睨みつけるきっちゃん。お前もか、という気持ちもこもっていたのかもしれない。ただきっと、どこかでズレが生まれてきてしまう二人なのだとも感じるシーンである。だから別れは必然で、最後はやはり会えない。

きっちゃんの母親のことを目撃してしまう。そこでノブオは悟る。大好きな父親は、こういうことをしていたのかもしれない、と。言葉には出さないが、最後、調子よく息子に話しかける父に向けられたのは軽蔑の眼差しであろう。

持って行こうとしたラムネを投げ捨てるシーン、祭りで小銭預けたのに失くしてしまう件はなんとも言えず切ない。
ほ