「赤と黒」と並ぶスタンダールの代表作の映画化。ジェラール・フィリップは同年の「肉体の悪魔」(1947)と本作で世界的人気を得た。
19世紀初期イタリア。パルマ公国の貴族ファブリスは僧侶の資格を習得し故郷に帰る。叔母の侯爵夫人ジーナはファブリスを溺愛しているが、彼は次々と女性との浮名を流す。それがたたってついにトラブルを起こし禁固20年の刑に処されるが、牢獄の窓から見かける娘に恋をし真の愛に目覚める。一方、叔母ジーナは彼を脱獄させるために手を尽くしていた。。。
ベルトルッチ監督「革命前夜」(1964)の原作と知り鑑賞。
ジェラール・フィリップがアニメから出て来たようなスタイルの良さで10頭身ぐらいに見える。城や牢獄の美術も素晴らしく映像的な見応えはあった。
しかし前半での主役のチャラさが尾を引いて共感しにくく、終盤を迎えるまでどのように映画を観たらよいのか躊躇した。おそらく原作にはもっと厚みがあり映画の限られた尺では表現しきれていないのだろう。ラストはしっかりと締めくくられ、久々に文芸大作を観たという充足感は感じられた。
題名の”パルムの僧院”は殆ど登場しない(原作もそうらしい)。おそらくファブリスの入っていた牢獄を比喩しているのではないか。