デニロ

銀座の女のデニロのネタバレレビュー・内容・結末

銀座の女(1955年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

飯田蝶子がバスに揺られとある施設に向かうシーンから始まる。

銀座の芸者置屋の女将轟夕起子。よく分からぬ設定なのだが、彼女は、学費・生活費を面倒見る代わりに自らの将来の面倒を見てもらうという約束を大学生長谷部健とする。1955年の日本でそんな契りごとが流行っていたんだろうか。

轟夕起子の恐怖は将来のこと。女ひとり。代議士のパトロンはいるものの希薄な関係は否めなくこころ寂しい。そんな最中、冒頭に紹介された飯田蝶子がテレビで紹介される。飯田蝶子は昔の親筋で、昔は羽振りが良かったのに、と彼女と同じ道を歩んでいる自身に身のすくむ思いがするのだ。

そんな勝手な思いは長谷川健に通じるまでもなく、大学は中退し作家となるべく小説を書く毎日。それはそれで自身に立脚した生き様なのだが、無論轟夕起子には裏切りでしかない。が、悲しいかな彼女は、長谷川健の小説が文学賞を受賞するやこころ広く祝意を持って迎えようとする。それに対して彼は今まで受けた恩はこの金で清算するんだと残酷に言い放つ。

新藤兼人、高橋二三脚本はなかなかに厳しいのだが、轟夕起子の年齢設定は33歳。製作年から65年。33歳で悲観してどうするんだと思わないわけでもない。

1955年製作公開。監督吉村公三郎 。 
シネマヴェーラ渋谷 脚本家新藤兼人にて
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