丽遥

蒲田行進曲の丽遥のレビュー・感想・評価

蒲田行進曲(1982年製作の映画)
3.7
蒲田なのに東映と角川??となったけどめちゃ面白かった。なんも考えず笑える映画

2人がヤスに心惹かれているのは、自分たちもスターではあるけれど落ち目だからなのかな。監督中心主義のなかで俳優は所詮駒に過ぎないのだという感じもある。劇中劇(中劇?)の新撰組と志士たちも幕府と朝廷の駒だったわけでリンクするところあるなと。

階段という装置がラストに来てめっちゃ意味深かった。銀さんがヤスに登って来いって言ってるのは、お前もスターになれるぞということでもある。周りのモブたちも映画製作そっちのけでヤスを応援していて、劇中劇としての映画よりも物語内の現実の方が映画的な瞬間になっていた。こういう映画経験の方が映画という物語よりも劇的であるという状態はしばしば私たちを生かすというか、人間たらしめると思うが、それを映画内に取り込むのがすごいよなと思う。

一方で、この階段は単純なスターダムへの階段という訳でもないという点が複雑だなと思う。なぜならヤスが階段を登ることで、銀さんはスターではなくモブになってしまうから。役者の階層構造の具現化というより、階段は階層を逆転させる装置ということなのかもしれない。そして物語展開的にも、ヤスは松坂慶子と幸せになり、銀さんはプロポーズを断られ、孤独になり、と立場の逆転があり、わかりやすい物語だった。

あとヤス結婚した瞬間に松坂慶子をお前呼びしてて、家父長制死ねよ🤭となった
丽遥

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