丽遥

マルサの女の丽遥のレビュー・感想・評価

マルサの女(1987年製作の映画)
3.8
マルサというお堅い男社会に身を投じた紅一点という役どころではあるけど、それを中年の宮本信子が演じてることで、お決まりの逆ハー感はなかったのかなと思う。
ちゃん付けで呼ばれてたり、女が来てくれて嬉しい的な発言がところどころありはしたけど、ラストを除いてクローズアップはほとんどないし、女性性を強調した外見でもない。むしろそばかすや寝癖、バイクを乗り回す等少年のような印象を受ける。
唯一母親的側面が女性らしさを感じさせるけど、山崎努の前以外ではそんな素振りは見せない。息子が画面に登場しないっていうのも仕事優先のキャラクター造形にかっていたと思うけど、2とかでは登場しそう。80年代にシングルマザーですとか、子供は母に預けてますとか言い切れるのは、なかなかかっこよかったんじゃないか。

ヒロインとは違って妙に色っぽいのがほかの若い女性陣。ストーリーに大きな影響を及ぼすことは無いけど、死にかけの患者に赤ちゃんプレイしたり、電話中に手淫してたり濡場のインパクトがデカい。そういうお色気シーンを奇天烈というかほぼギャグとして、かつサイドストーリーとして処理するのはたんぽぽでもあったし、伊丹十三の持ち味なのかもしれない。

あとカメラワークでいうなら、マルサのガサ入れの時の手ブレカメラは躍動感があって、ドキュメンタリーチックでもあった。ラストシーンはそれとは対照的に山崎努と宮本信子のバストショットの切り返しが続くけど、これは事態の終焉を示すと共に2人の関係性の親密さを表していたとも思う。
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