MasaichiYaguchi

ロック 〜わんこの島〜のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ロック 〜わんこの島〜(2011年製作の映画)
3.2
この映画を観た大半の人達は東日本大震災の被災者達に思いを馳せたのではないかと思う。
この映画を企画・製作した段階では、よもや未曾有の大震災が起こるとは誰も予想しなかったと思う。
本作はフジテレビ「めざましテレビ」のコーナー「きょうのわんこ」で取上げた実話がベースになっている。
同じ様な内容で、新潟県中越地震の実話を基に映画化した「マリと子犬の物語」という作品が有るが、この作品の方がより被災者の立場で作られていると思う。
空を覆う噴煙、粉雪のように降り積もる火山灰、黄泉の世界の様な三宅島。
その様な状況になっても生まれ育った所に居たい島民の心情。
大津波で全てを失っても、原発事故で放射能汚染されていても、いつの日にか故郷に帰りたいと願う東北の被災者達の姿にオーバーラップします。
「人は忘れる生き物です。1日で記憶の半分。1週間経つと更にその半分。だけど僕は、この夏を忘れない!」という主人公の少年のモノローグが有るが、私も三宅島大噴火や東日本大震災を決して忘れまいと思う。
感動的なシーンも幾つかあるのだが、この作品の欠点はエピソードを盛り込み過ぎて冗長になってしまったことで、取捨選択した方が良かったのではないかと感じた。