mh

レッド・バロンのmhのレビュー・感想・評価

レッド・バロン(2008年製作の映画)
-
2008年制作のドイツ版「レッド・バロン」。
大迫力の空戦シーン、衣装や美術、色彩設計、時代考証などは納得の最新バージョンでハイレベル。
僚機のカラーリングを再現してるのとか地味にすごい。写真が残ってても白黒なので、ある程度の見当はつくものの最後は臆断で色を決めていくという、このあたりはプラモデラーが大好きなジャンル。
近年作られる戦争映画ではもはやおなじみになりつつある阻塞気球もがっつり登場。ドイツの黒十字が書かれていたり、連合国のマークが書かれていたりする。
阻塞気球を燃やすための拳銃みたいなの出てきたけど、あれはただの発光弾だったのかもしれない。
1910年代のファッションにも力が入ってて、役者さんは美男美女ぞろいでみなさんかっこよかった。

細部が楽しいいっぽうで、肝心のストーリーが少々危うい。
・連合国のエースパイロットが誰かに撃墜されたと思ったら、主人公に撃墜されたみたいだった。(撃墜シーンはカット)
・主人公が乗る飛行機が着陸したと思ったら主人公が重症負ってる。(その戦闘もバッサリ)
想像で埋めればわからんでもないんだけど、カットする意図がわからないことしばしばだった。
ヒロインが野戦病院を案内するくだり、真っ暗なテントの明かりをつけたら重症者たちがいっぱいいて、主人公がショックを受けるんだけど、看護婦たちも働いてて、暗闇でお前らいったいなにしてたんだ?
みたいな突っ込みどころがかなりある。そういうところ含めて楽しむのは、ホラー映画を見るときのノリだよね。

ほか。
1971年制作の「レッドバロン」には同僚にゲーリングがいたのだが、こちらの映画には登場しなかった。ググると正しいのはこちらのドイツ版。ゲーリングがリヒトホーフェン大隊の指揮を執るようになったのは、主人公の死後とのこと。(リヒトホーフェン大隊は主人公の死後も存続)
いっぽうで2016年制作のスペイン映画「ゲルニカ」に登場する、極悪なリヒトフォーヘン(ヴォルフラム・フォン・リヒトホーフェン 主人公のいとこ。ゲルニカ空襲に参加)は、この映画にしっかり登場する。
演じてる役者さんは童顔のイケメンだし、WW1を戦い抜いたとのラストのスライドもあるし、「ゲルニカ」の彼と同一人物とは思えない。
そのあたりも楽しめた。
mh

mh