クェ虫丸

アイアン・ジャイアントのクェ虫丸のレビュー・感想・評価

アイアン・ジャイアント(1999年製作の映画)
4.4
コミカルな誇張表現の中でもしっかりと大人が大人の責任を果たしている。いやまあ責任は嘘だ。役割だな。その属性と付帯するキャラクター性に対して科された役割を果たしている。
ネガティブな役割を与えられたキャラが露骨に冷戦への風刺なのはまだ記憶に新しかったろう当時の世相を反映してて面白いなーとなった。

言ってしまえばチープな展開ばっかなんだけど、作画の良さ、コミカルな演出、各々の理を以て動くキャラ達、全てがそれをカバーする。
見飽きたものも物語に没入してたらちゃんと泣けるいい見本。見てる最中にメタ思考入るのって最悪だけど、それを補って余りある描写の深さだった。

ともかく全体を通して誠実なところに強い好感を覚えた。戯画的な描写はそういう誠実さにこそ映えるんだよな。
傑作だと思います。

関係ないけどこういう映画を見たときって娯楽が飽和した世の中に生まれたのをもったいなくも感じるし幸せなことだとも感じる。
どっちの方がいーんだろ。
飽和してるっつったけどたぶん気のせいだしきっとまだ過渡期であってほしい。知らん。
本当に飽和したときは世界が終わるときだ。
クェ虫丸

クェ虫丸