アトミ

祇園の姉妹のアトミのネタバレレビュー・内容・結末

祇園の姉妹(1956年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

83点

吉本新喜劇が始まるみたいに軽快なオープニングナンバー。

京都。
古沢新兵衛は事業の失敗で木綿問屋を畳む。
家にある金目の物は全て競りにかけられていた。
幼子を連れ田舎へ帰ることになり、惨めで泣いてる妻を見て古沢はイラつき、出て行ってしまう。

古沢は芸妓の梅吉宅へ。
義理人情に厚い梅吉は古沢(元旦那はん)を居候させることにした。
が、家賃を滞納してる現状でありながらも恩返しするとかいう古臭い姉梅吉の考え方に納得行かず大反対する妹芸妓おもちゃ。
そんなおもちゃは客で来る男とは金でもの言わしたいだけのエロジジイ野郎で、利用してナンボだといった考えを持っていた。

そんな中。
おもちゃは以前から「おふれまい(宴会)」の仕事に梅吉をと置屋のおかあさんに頼んでおり、タイミング良く声がかかる。
が、芸に申し分ない梅吉であったがちょっと着物が、、、みたいに言われてしまう。
おもちゃは呉服屋の番頭木村が自分を気に入ってるという話を利用し、ちょっと色仕掛けで梅吉のために良いべべを作らせることに成功。


宴会。
古沢、梅吉互いの古い知り合い(客)骨董品屋がベンロベンロで梅吉と一緒に帰って来た。
骨董品屋は梅吉の店の競りに参加しており、自分が古沢に売った商品をまた買い戻すことに殺生を感じて涙が出たとベンロベンロで語る。
おもちゃは骨董品屋を家まで送ると言いつつ下木屋町の料亭へ連れ出し、酔いが覚めた骨董品屋に梅吉の旦那になって欲しい、助けて欲しい(梅吉も気があるが、古沢がいるから困り果ててると嘘をつく)とそそのかす。
骨董品屋は古沢と梅吉が別れるなら旦那になると答え、おもちゃは一肌脱ぐと古沢への手切れ金を骨董品屋から100円せしめる。

家に戻ったおもちゃは早速古沢に50円渡して国に帰るように差し向け、家から追い出す事に成功した(梅吉には勝手に出て行ったと嘘をつく)。

夜の街を歩く古沢は元番頭定吉にバッタリ出会い、金があるから豪遊しようと誘った。

その頃。
家に戻った梅吉はおもちゃから「古沢が突然出て行った」と聞き驚いた。


そんな中。
木村が帳簿をちょろまかしてるのが呉服屋主人にバレてしまう。
着物の件で文句を言いにおもちゃ宅に現れた呉服屋主人をうまく丸め込み、逆に気に入られ、自分の旦那はんにしてしまうおもちゃ。

夜。
店に戻った呉服屋主人は木村に「今回は大目に見るが、もうあんな女には近づくな。会った事を知ったら承知せんぞ」と釘を刺す。


そんなある日。
骨董品屋が家を訪ねて来た。
おもちゃはこれから呉服屋主人とデートゆえ梅吉と2人きりにする。

そんな中。
おもちゃを訪ねてきた木村から「古沢を近所で見た」と聞いた梅吉は骨董品屋をほっぽって古沢(定吉の実家?のお茶屋に居候)のもとへ走って行く。

そんな中。
家に戻った呉服屋主人とおもちゃと木村がバッタリ。
呉服屋主人は「このザマはなんですか?」と盾突く木村をクビにし、おもちゃは木村に「身から出たサビや」と嘲笑う。
木村は「覚えてろよ!」と捨て台詞を吐き出て行った。


夜。
木村は呉服屋夫人にチクりTEL。
浮気がバレて一悶着起こる。

そんな中。
古沢から全てを聞いた梅吉はおもちゃに愛想を尽かし、家を出て梅吉と一緒に暮らし始める(お茶屋の2階に間借り)。


そんな中。
「呉服屋主人から」とタクシーの迎えが現れ、おもちゃは同伴準備をし、乗り込む。
助手席にはヤクザに落ちぶれた木村が座っていた。
大ピンチのおもちゃ。


おもちゃが大怪我をしたらしいと定吉が大慌てで梅吉を呼びに来た。
梅吉は急いで病院へ向かう。

おもちゃはタクシーから飛び降り?て大怪我していた。
梅吉は「男の人をあなどり過ぎたからこんな目に会ったのよ。これに懲りたら人の気持ちを大事にしなさいよ」と諭す。
が、おもちゃは「これくらいの事で男に負けてへん!女が自分の思い通りにならんからとこんな卑怯なことをするような男には刃向かってやる!姉さんの言うようにするのは負けや!」
興奮するおもちゃをベッドに寝かし、一旦梅吉は自分の荷物を取りに古沢の部屋へ戻る。

と、古沢がいない。
定吉の母?曰く、さっき吉沢の妻から電報が届き、定吉と2人して妻の国へ向かったようだ(人絹工場の支配人になる)。
そして「もっとええ旦那はん見つけてくれ」との伝言を受け取る。


病院へ戻り、おもちゃを看病する梅吉は落ち込んで泣いていた。
吉沢に捨てられたと知ったおもちゃは「ほら見たことか。義理人情、世間体。結局最後に嫌な思いをしてるだけや。上手いことやったらやったでクソみたいに言われて。どうしたらええんや?なんでこんな目にあわなならんのや?芸妓みたいなアホな商売なんか無かったらええんや!」
と、悔し涙を流すおもちゃ。

ラストはオープニングナンバーとは一転。サスペンス的なナンバーが流れる。





というお話。
商売だからと言ってもお世話になった客にはお返しをする義理堅い梅吉(社会のルールを守るタイプ)。
商売は商売。そもそもウィン・ウィンの関係が成立してるゆえ、それ以上の事(義理)は不必要と考えるクールなおもちゃ。
どちらにしても夜の不条理に翻弄される結果になる。

ちょいちょい挟まれる京都の街並みや川のキラメキは登場人物の心情との対比がエグい。
この辺りは流石。

残念なのは30分間の映像(3分の1)の欠落。
それだけ無いと多分印象はガラリと変わるハズゆえ、この作品での判断がムズい。

後、個人的には不条理に怒りをあらわにするというメッセージは好きじゃない。
アトミ

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