テラサキマサキ

千年女優のテラサキマサキのレビュー・感想・評価

千年女優(2001年製作の映画)
4.3
今回のリバイバル上映で初視聴。
劇場でこの作品を味わえたことを嬉しく思う。

この作品については完全に理解はできていなく、観た人の多くが議論するであろうラストの台詞に関して、自分は「え?」と冷めた気持ちになった派になる。残念ながら。

引き込まれる緻密な演出、藤原千代子が追いかけた美しい恋心の物語が素晴らしかっただけに、肯定的な解釈をしたい気持ちが残る。

しかし率直に感じたのは、最近社会で問題視されている、地下メンズアイドルと1時間のデートに30万円、8時間の日帰り旅行で100万円という高額なシステムに食い物にされた女子の幼い恋心。ホストに何千万と貢いでしまう周りが見えなくなるホスト狂いに似たような、愚かな盲目的な恋心を患った少女を連想してしまった。

視聴側として藤原千代子に恋をしていた自分も、実態のない虚構を見せられていたのかもしれない。

様々な考察のしがいのある作品で、音楽も素晴らしく、涙なしでは観れない日本が誇れるアニメーションだと思う。