櫻イミト

吸血ゾンビの櫻イミトのレビュー・感想・評価

吸血ゾンビ(1966年製作の映画)
3.5
「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」(1968)に先駆けてハマー・プロが制作したモダン・ゾンビ映画の元祖。初めてカラーで撮影されたゾンビ作品。

イギリスの田舎の村で謎の疫病が発生。ロンドンのフォーブス博士と娘シルヴィアは村に住む友人の依頼で調査に訪れる。一方、村の銀鉱山の地下ではカリブ海ハイチに伝わるブードゥー教の儀式が行われていた。。。

クラシカルな設定が今見ると新鮮。映像シナリオ共に良く出来ていてスリラーとしても最後まで楽しめた。※基本設定は史上初のゾンビ映画「恐怖城」(1932)を踏襲している。同作はハイチが舞台なので、本作は後日談として観ることもできる。


ゾンビ発生の仕組みは後の映画で見られる伝染方式ではなく、手のひら大の小さな棺桶に入った土人形に狙った相手の血をたらして呪いの儀式を行うと、相手が死んでゾンビとして蘇ると言うもの。ゾンビが量産される目的が意外だったことも、田舎ホラーとしての味わいを醸し出している。

テレンス・フィッシャー監督以外のハマー・プロ作品を初めて観たが、画面から漂う英国の品としっかりした美術は共通しており、これがハマー・ホラーのカラーなのだと再認識した。
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