Frauヌコ

帝都物語のFrauヌコのレビュー・感想・評価

帝都物語(1988年製作の映画)
2.8
原作未読。荒俣宏氏原作の実写化。

当時見たポスターのインパクトが未だ忘れられず、時を経てやっと鑑賞。

舞台は帝都・東京。陰陽師・安倍晴明の子孫である軍人、加藤が東京を守護する平将門の霊を蘇らせ、帝都壊滅を画策。そのため将門の血を引く辰宮家を始めとする関係者達を巻き込み、明治・大正・昭和の3時代にかけての壮絶な闘いを描いた作品。

元々原作は長編で、本作はいくつかのシリーズを合わせて映像化したもの。
やはりと言いますか、長編ゆえ2時間ちょいで纏めるのには無理があり過ぎ…と思っていたら続編が製作されたのでかなりマシ?
本作だけに絞ると判りづらい。流れは把握したような、それより登場人物其々の関係性が掴みにくく余計に混乱。

主人公である加藤を嶋田久作さんが演じてます。
原作者の荒俣氏が太鼓判押すほどの怪演で、これだけでも観る価値あるのではないでしょうか。妖しい表情と雰囲気に引き込まれ「魔人加藤」と呼ばれるに相応しい演技は、彼が登場するだけで画面が支配されます。共演者陣も勝新太郎さんや大滝秀治さん、宍戸錠さんに平幹二朗さんと西村晃さん、寺田農さん等と豪華面子。
ここ最近鑑賞している邦画での寺田さん遭遇率が…100パーセントやんけ。。。
そして佐野史郎さんと石田純一さんが出演してます。石田さんが結構重要な役柄で、かつてトレンディドラマの常連のイメージがあっただけに、本作の身体を張った演技は初見でしたが…意外な一面を垣間見た気分。

セットや特殊効果がチープ感漂う反面、帝都・東京の街並みは緻密な作りでタイムスリップしたかのよう。
縁日の模様は当時の出し物も再現しており、見ていて愉しませてもらいました。
式神を召喚する様子も凝っていて、一枚の紙をコマ撮りしながら式神へと変化させてます。動きはぎこちないけれど1分間のシーンを1秒間に24コマ、いやはや脱帽モン。
クライマックスが近づくにつれ、状況がカオス化。例えるならごった煮状態。
そのカオスっぷりと嶋田さんを始めとする、演者の皆さんの個性溢れる演技のぶつかり合いを堪能したい方は、是非。