泣ける。オトナ帝国も素晴らしいが、この映画も素晴らしい。シロは異世界への入り口を示してくれる存在なのね。確かに世界の見え方は動物の間で違うので動物にしか可能ではないことは確かに世界にあるのだろう。
クレしんファンからは評判があまり良くないのは、クレしんであることの必然性がないこと、主人公が姫と武士であることが原因だと思う。自分はクレしんのテレビアニメを観たことがないので違和感はそれほどなく、むしろみやすかった。
歴史は何らかの目的に沿って進行しているのか、それとも完全に混沌とした偶然なのか。偶然だと思って生きているが、姫と武士はしんのすけたちにより、目的を持った総体が歴史だと自覚した。だからこそ、自分たちの日々の混沌が最終目的には関わらないことに衝撃を受けた。しかしながら逆に見れば、たとえ目的に従って歴史が収束したとしても、自分たちのもがき、生が存在したことは変わらない。そのことが最後に共通の雲を見る、という動作に現れている。これにより野原家と姫、そして武士の人生がつながり、それぞれにとって有意味なものであるということが示されている。
