ガブXスカイウォーカー

大怪獣モノのガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

大怪獣モノ(2016年製作の映画)
3.7
河崎実監督の『遊星王子2021』(2021年)が意外と面白かったので、同監督の『大怪獣モノ』(2016年)、『ロバマン』(2019年)、『三大怪獣グルメ』(2020年)をネットレンタル。河崎実監督作品はレンタルショップに置いてないんだよ!(笑)←光回線引いて配信で観ろ

今作は、大怪獣モノに立ち向かうマッドサイエンティストたちやその助手、娘、美人国際スパイ、防衛軍、マスコミなどのナンセンスギャグを描く。

とくに真夏竜(ウルトラマンレオ!)は女装コスプレが趣味のマッドサイエンティスト西郷博士を怪演して笑わせてくれる。
例えば、泉忍道博士役の堀田眞三(『忍者キャプター』の風魔烈風!)が「(主人公には)滝の流れを斬るような動きを会得する必要がある」と提案すれば、真夏竜は「滝は斬れん! 滝など絶対に斬れん!」とむきになって反対する。もう爆笑~!
えっ、これのどこがおかしいのかわからないって?
かつて真夏竜は『ウルトラマンレオ』(1974年)第4話「男と男の誓い」で上司であり師匠のウルトラセブンから滝を切るよう無茶振りされたことがあるのだ!
と説明されても、全然ピンと来ないよね。これはおじさんが悪かった。
実は今作は終始こんな調子で古い特撮ネタばかりで、完全に一般の観客は置き去りなのである。

しかも、ベテラン俳優、真夏竜、堀田眞三、古谷敏(初代ウルトラマンのスーツアクター!)、きくち英一(帰マンのスーツアクター!)、 筒井巧(世界忍者戦ジライヤ!)らは渋い演技を決めてくれるが、若手の役者たちはその実力を発揮することなく拙い演技だ。中でも新田陽出人(A)役の斉藤秀翼(キョウリュウブラック!)なんて可哀想なくらいに滑りまくっている。これは役者たちにほとんど演技指導をせず、時にはリハーサルさえ飛ぱし、一発撮りを信条とする河崎実監督のせいだろう。
肝心の特撮も低予算丸出しで、レスラーがプロレス技で怪獣と戦うなど、そのぶっとんだセンスには苦笑してしまう。

いや、このダメダメさ全開の開き直ったくだらなさこそが今作、ひいては河崎実監督作品の魅力なのだ。
河崎実監督作品は長年に渡って糞つまらないゴミばかりだったが、『大怪獣モノ』はちゃんと笑えるバカ映画に進化している(ただし特撮オタク限定)。まさに継続は力なり。
今作は『遊星王子2021』ほどではなくても、そこそこ楽しめて、後味も悪くはなかった。年配の特撮ファンならば観て損のない一本であろう。
大オマケして3.7点。