イチロヲ

侠女/俠女 第二部:最後の法力のイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
特務機関・東廠(とうしょう)の最高指揮官を追い詰めようとする女剣士が、一部始終を察している僧侶により、復讐行為の何たるかを諭される。登場人物の行動理念と精神性に比重を置いている、長尺作品の第二部。

第一部の中心人物である青年を退かせて、ヒロインとラスボスの対決に一点集中。悟りの境地に入っている僧侶が、ふたりの合間に割って入り、ナンダカンダと諭そうとする展開が大作のクライマックスとなっている(対決シーンにサモ・ハン・キンポーがいる)。

「勧善懲悪を成り立たせるためには、仏道から逸脱しなければならない」という法則を、超理論的に暗示させているところが醍醐味。学校教諭による「最終手段としての体罰の是非」にも相通じるテーマ性が含まれている。

総合的に考えてみると、中盤部の「私を捜さないでください」の流れで劇終にしたほうが、心に響く作品になったような気がする。美しい映像世界と革新的なアクション演出が素晴らしいため、飽きることはないけれども、どうしても冗長な感覚が拭い切れない。
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