自家製の餅

マージン・コールの自家製の餅のレビュー・感想・評価

マージン・コール(2011年製作の映画)
4.3
リーマンショックのまさに前夜〜1日、リーマン・ブラザーズを思わせる投資会社の内情を極限までドライに描いた、リアリズムを追求した映画。

結論から言うとめちゃめちゃ面白かった。と同時に向き不向きで評価は分かれるだろう。
ケヴィン・スペイシー主演の大統領ドラマにも似たテイスト。
カネのことしか考えていない男達(女も出てくる)が難儀な仕事に立ち向かう姿はプロフェッショナルなのだが、真面目に取り組むほど滑稽に見えてしまう。
唯一の良心みたいなおっさんが冒頭でリストラされるが、ほかは出世と利害と年収しか考えていない浅はかな(それも意図的に何度も描写される)トレーダーや役員らのシリアスな会話劇、それもほぼオフィス内という縛りのなかで、じゅうぶんなクオリティであった。

橋をつくるエンジニアのエピソード、そして愛犬…会社を辞めるのか辞めないのか気の移ろいがあまりに動物的で味わい深い。