ジャケ写ひどいが、エロ映画ではない。
35歳にして、まだ捨てきれない夢(モー娘。になりたい)を追いかけ、一念発起する人妻の姿が描かれている。主人公は純粋で限りなくアホだが、彼女をとりまく女子高生や、旦那、元恋人などの演技や台詞には感慨深いものがある。閉塞した現実から抜け出し、「失われた輝き」を取り戻そうとする姿に、バカだなと思いつつも、バカにしきれない何かを感じる。自分も何度、捨てきれない夢を思い返し、『六法全書』を開いてみたことか。
元恋人とのやりとりは最高にせつなく、その決断のシーンは素晴らしい。元恋人役の俳優の演技は最高だった。
「夢なんて、くそだ。俺はくそを食わされて生きつづけてきたんだ・・・」という売れない歌手くずれの男が女に諭す台詞が印象的。
自分の周りにいる人たちを大事にして生きていくこと以外にやれることはないようだ。悲しいが、自分の場合も。
悲しいと思うことが、たぶん間違いなんだろう。情報不足の誤った幻想を夢と勘違いしていた時間が実にもったいないと思うべきだし、大事にすべき人がいることは幸せなことなんだよな。