ShinMakita

第三帝国の遺産のShinMakitaのレビュー・感想・評価

第三帝国の遺産(1985年製作の映画)
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☆俺基準スコア:1.9
☆Filmarks基準スコア:3.0




ニューヨークの建築家ノエル・ホルクロフトは、ある日スイス銀行頭取マンフレディから連絡を受け、ジュネーブに呼び出された。そこで驚くべき話を聞かされる。40年以上前の第二次大戦末期、ドイツ軍の反ヒトラー派将軍クラウゼンが、ケスラーとティーボルトという2人の部下と共にナチの資産を横領、後世の者たちがナチの所業を償うためにとスイス銀行に隠匿したというのだ。その資産は、今や45億ドルという巨額となっており、クラウゼン将軍/ケスラー/ティーボルトの遺児たちが盟約署名すれば彼らの手に渡るという。クラウゼン将軍のひとり息子であるホルクロフトは、とりあえずロンドンに住むティーボルトの子供たち…イアン&ヘルデン・テニスンと会ってみて盟約署名の相談をしようとするのだが…




「第三帝国の遺産」

ロバート・ラドラムの「ホルクロフトの盟約」をフランケンハイマーが映画化した作品。日本未公開です。

大雑把に言うと、「盟約を穏便に思いとどまらせたい派」と「過激な盟約阻止派」と「盟約はさせたいけどホルクロフトには死んでもらいたい派」の三つに分かれて乱戦になるって話。この3派がキチンと描かれているとは言い難く、劇中のホルクロフト同様に観客もワケわからないままジュネーブ/ロンドン/ベルリンというヨーロッパ珍道中に引き回されるハメになります。巻き込まれサスペンスとしては「北北西に進路をとれ」的なんだけど、前半はかなりユーモラスで、あのマイケル・ケインの役が「生まれはドイツ、育ちはアメリカ」というニューヨーカーなため、ロンドンのルールにピンとこないというのがギャグになっています。ただこの役、元はジェームズ・カーンが演じることになってたので(マジかよ)、ケインを代役にしたのはフランケンハイマーの大ミスか凄い計算かどっちかということになりますね。そんなケインもベルリンの銃撃戦以降は急にたくましくなって、クライマックスは別人のようなカッコ良さでございました。ヘルデンと部屋で迎えるラストシーンは素晴らしく、ラストカットはあれしかないよな、という完璧な締め。さすがはフランケンハイマー、話が破綻していても、「いい映画観た感」は保証してくれます。

そういや、マンフレディ役でミッシェル・ロンズデールが登場。殺し屋ボーモントがやたら個性的で、どっかで見た顔だな…と考え、「007リビングデイライツ」のアバンタイトルに登場した殺し屋だと思い出しました。確かにそんな役しか無さそうな御面相。というわけで007好きは要注目といえますね。




それにしても45億ドル。ブルゾンちえみもびっくりだ。
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