こたつむり

HICK ルリ13歳の旅のこたつむりのレビュー・感想・評価

HICK ルリ13歳の旅(2011年製作の映画)
3.8
♪ 今すぐ逢って見つめる素振りをしてみても
  なぜに黙って心離れてしまう?

トウモロコシ畑の上に拡がる空。
肩を落としたくなる日常と夢想する色彩。
牧歌的なカントリー音楽を背景に描かれた、ある少女の成長譚。

…なんて気持ちで鑑賞していたら。
思わぬところからサイコ!サイコ!
と、一筋縄ではいかない物語。
ある意味で飛び道具(いや、文字どおりかもしれません)ですが、個人的には好みの展開でした。

確かに13歳の少女の一人旅は危険が伴う話。
これは性差の話ではなく確率論的な話ですが、要は“変態さん”が多いということ。そして、人を疑うには人生の経験値が足りないということ。

しかも、演じたのがクロエ・グレース・モレッツですからね。『キック・アス』でブレイクした魅力がそのままに、子供と大人の間を揺蕩う年頃を見事に具現化した存在。不穏当な属性ではなくとも、心が乱される可能性は否めないのです。

そして、物語の中で山椒の如く、ピリ辛いのがエディ・レッドメイン。さすがは演技派。人の好い笑顔と陰に潜む危うさが、物語を引き締めているのです。「人殺しの役も変態の役も演じるのが役者」と“偉い人”が申していましたが、彼は確実に体現していると思います。

まあ、そんなわけで。
直球のように見えて変化球の物語。
先入観を抱いて臨むと裏切られる可能性がありますので、事前知識を仕入れずに主演女優を楽しむくらいの気持ちがちょうど良いと思います(クロエちゃんのファンならば満点のはず)。

また、思春期の少女に見せるのは危険極まりなく。あくまでも“ファンタジー”であることを前提したほうが良いです。繰り返しますが“変態さん”は多いですからね。特に「人畜無害」を前面に出すタイプは要注意なのです。

勿論、僕に限って言えば「人畜無害」ですよ。
てへ。
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