こたつむり

法廷遊戯のこたつむりのレビュー・感想・評価

法廷遊戯(2023年製作の映画)
3.2
♪ ICE MY LIFE
  開きかけた手の平に
  貴方を受け止められたら

さぁ、無辜ゲームをはじめよう!
…なんてライトノベルみたいなノリだなあ、と思っていたら、原作はメフィスト賞受賞作だとか。なるほど。それは納得。

何しろ、あの賞はアレを生み出していますからね。そう。第二回目受賞作のアレ。当時、色々な意味で物議を醸したアレ。ちょっと余談ですが、僕の人生の中で唯一、床に叩きつけたくなった小説(というか大説)でもあります。

京極夏彦先生なみの分厚さを読み進めた先に。
拓けていたのはミステリではなく別のナニカ。
今では目新しくもないですが、当時はぶっ飛びすぎていて、全身から力が抜けました。

しかも、懲りずに続編も読んだんですけどね。
あの作品もヒドか…スゴかったです。ある意味で、ミステリにおける常識を完全にぶち壊して粉々にして瞬間接着剤でくっつけてオヤジギャグに再生してしまった感じ。

って、この場はアレを語る場ではないですね。
スミマセン。アレを語り出すと止まらないものでして。家族からは「一周回って愛しているんだよ」と言われましたが、それはない。絶対にない。

まあ、そんなわけで。
って何がそんなわけなのか分かりませんが、本作はフツーな感じでフツーに軽いミステリ。

というかですね。
ちょっと主人公の存在感が残念過ぎました。
彼に相対する杉咲花さんが凄すぎるのは当然なので、そこに“喰われて”しまうのは仕方ないんですが、それ以外にも周辺を固めているのが実力者ばかり。

中心と周辺のバランスって大切ですよね。
映画に限らず、物語って“確固たる芯”が作品の良し悪しを決めると思いますので、本作の目指すところ(日本の法制度に物申す)に達することは出来ていなかったと思います。

ただ、視点を変えて。
“ドーナツ”みたいな作品と思えば…楽しめるのかも。
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